大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26年(れ)1521号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

原判決の判示第三の犯罪事実に関する証拠説明の中に「当公廷に於ける証人細川哲夫の判示に照應する被害顛末に関する供述なる記載のあること、右細川哲夫は実際は原審において証人として証拠調を受けず從つて原審における証人細川哲夫の供述」なるものは全く存在しなかつたことは、いずれも所論のとおりである。しかし、原判決は判示第三の犯罪事実を認定するにつき右細川哲夫の供述のほか、被告人山田広の原審公判廷における判示同趣旨の供述司、法警察官の同被告人に対する訊問調書中判示同趣旨の供述記載、細川哲夫提出の被害始末書及び小泊梅夫提出の始末書をも証拠として引用しているのであつて、これらの証拠によれば前記犯罪事実は十分にこれを認定することができるのである。それゆえ、原判決が「原審における証人細川哲夫の供述」なるものを引用したことは、存在しないものを過つて記したに過ぎないのであつて、これがために他の証拠の信憑力に影響を及ぼしたとか、証拠の趣旨を誤解して虚無の証拠により事実を認定したとかいうようなことは全く考え得られないのである。されば、原判決の右記載の如きは判決に影響を及ぼさないこと明白であるから、上告の理由とならない。論旨に援用する判例は、証拠調を経ない違法な証拠を他の証拠と綜合して犯罪事実を認定したとか、犯罪事実を認めるに足りるだけの証拠のないのに、その証拠があるものとして虚無の証拠により有罪の言渡をしたとかいうように、その法令違反が判決に影響を及ぼさないこと明白であるとは言えない場合の判例であるから、本件の場合には適切でない。それゆえ、論旨は理由がない。

(説明)

原審において証人細川哲夫を取調べたことのないことが原審公判調書上明白である限り、判示の常識的な見解は正当である。たゞその記載が誤記であると認める限り違法ではないのであるから、それが判決に影響を及ぼすとか及ぼさないとかいうことを論ずる必要はないと考へる。

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